終わりの始まり【⑧終わりの終わり】

新しい家族期
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自分の子供を施設に入れたい、と思う親の気持ちはどんなものなのでしょう。

それはどんな状況なのでしょう。

私には、その気持ちはわからないですが、それが非常事態ということはわかります。

それまで幾度となく、次女ちゃんがやらかし、それをなんだかんだ彼から歩み寄り、許し、元通りになっていた2人。

そして、その2人に翻弄され続けた私。

何度、彼が今度こそは!と気持ちを私にぶつけたことか。

そのたびに、そうは言ってもあなたは次女ちゃんの親でしょう。

そんな言い方しちゃだめだよ。

と気持ちとは逆に彼をなだめてきました。

以前、「そんなに言うのであれば、もっときつくいつもとは違う方法を取ってみたら?」と進めたこともあります。

しかし、それはちょっと・・・と結局なんだかんだ次女ちゃんに甘い彼。

私に話しはしてくれるものの、結局は自分でこう、と決断して、最後は決まって、私が知らない間に2人で仲直り、というのが定番でした。

私は何のために毎日彼の代わりに次女ちゃんの話しを聞いたのだろう。

彼の話を聞いたのだろう。

私の寝不足は誰のため。

私の体調不良は誰のため。

そして2人は今日も笑ってる。

そんな日々が繰り返され、辛かったです。

寝不足よりも、体調不良よりも、辛いのは、大切な人に、大切な人のために動いている自分の努力を認めてもらえないこと。

私も広義で次女ちゃんと同類だったのかもしれません。

彼に、私の頑張り、存在意義を認めてほしかった。

彼のアテンションがほしかったのかな。

そして結局、前回のおじいちゃん、おばあちゃんとのビデオ電話の後、これはさすがに家族全体で話し合おうと、長女ちゃんも含めて次女ちゃんの現状を家族で話す時間が取られました。

彼から施設の話が出され、初めこそ次女ちゃん本人も「施設に行ってこれから生きていくんだ。」なんて言っていましたが、言いながら、それがどんなところなのか、施設に行くというのはどういうことなのか・・・

多分「まずい。」と思ったのだと思います。

次女ちゃんの目が急にキマったかと思うと、

「え?パパに家を出ていけなんて誰が言ったの?私はパパに家を出ていけなんて言ってない。」

と。

もはや恐怖。

何かに乗り移られたかのような、変にとても芝居がかった様子で、「そんなこと私は言っていないのに、みんなどうしちゃったの?」なテンションで話し続ける次女ちゃん。

彼と私は目を見合わせ、長女ちゃんは黙っていました。

結局、その話し合いで次女ちゃんのそのモードは続き、話はそれ以上進まなくなりました。

そして、彼が「じゃぁ当時、児童相談所の相談員さんが俺とは住めないと言った次女の証言を聞いているから、確認してみるな。」と。

結果は、何も変わらず。

相談員さんも、「次女ちゃんは確かに『パパと住めない。パパに家を出て行ってほしい。』と言って今記録が残っています。」と。

彼も私も記憶違いをしていませんでした。

またも次女ちゃんが証言を翻しただけ。

しかし、今回は意見を翻したとは認めず、「みんな何言ってるの?」スタイル。

彼の表情からは「疲れ」が感じられました。

そして結局その日は来ました。

全開のビデオ電話から日をおいたので、もう一度おじいしゃんおばあちゃんとビデオ電話をして、その後の話しをすると。

その日私は仕事で、家には子がめと私以外の彼の元からの家族3人。

前日の彼と私の話しで、「両親の家に行かないことになったとしたら、民間でもなんでも次女をあずけられる場所を探す。絶対に揺るがない。」これが彼の答えでした。

もちろん説得しました。

「先に出ていた施設の類も、非行度合から考えると次女ちゃんはまだ何も起こしてないに等しい。パパから離れたいという本人の意志があるからどこかしら見つかるかもしれないけれど、それでも、そういうところに送り込んで、あなたの気持ちは大丈夫なの?」と。

それでも意思を変えないと私に決意を語った彼。

しかし、その日私が帰宅すると、笑顔の次女ちゃんと少し気まずそうに、だけど次女ちゃんと笑う彼がいました。

私の中で何かが壊れました。

次女ちゃんとなんとか和解した彼は、情緒不安定な次女ちゃんを一人にはできないと、その日一日仕事先に次女ちゃんを連れて仕事を行ったようです。

次の日も笑顔の2人。

家族として良かったねと思いつつ、全然気持ちが付いてこない。

自分がどんな表情をしているのかわからない。

子がめを保育園に送り、部屋に戻って扉をしめると涙が出てきました。

辛い、のかな。

次女ちゃんを追い出せなかったという意味ではないです。

彼がまたしても、自分で判断したこと。

私のいない場所で、私に告げたのとは違う決定をした。

自分の存在が否定されたように感じました。

涙が止まらず、窓から晴れた空の雲を眺めていました。

すると彼が部屋に。

私の様子が変だということに気づいており、その原因も理解していたのです。

すぐに私をなだめにそばに来てくれました。

でも、大丈夫と距離を取る私。

大丈夫じゃないよ。笑いながら泣いてる。俺がまた考えを翻したからでしょう。

と。

わかってるんだ、という虚しい気持ちと、それならどんな気持ちで今私をなだめにきてくれるんだろう、そんなことも少し思いましたが、本当に全てがどうでも良くなってしまいました。

この人に私は必要ない。

この家族に私は必要ない。

彼が時間をかけてなだめ、前日は次女ちゃんにつききりだったのに、今日は私につきっきりになって一日家で私を抱きしめていてくれました。

それもなんだかおかしな話。

次女ちゃんと私、病んでる2人が彼の取り合いをしているんだろうか。

なんなんだろう。

子がめを迎えに行く時間がきて、なんとか自分を奮い立たせ、そこからいつもの自分のふりをしました。

でも、もうそれまでとは違う。

その後、「お別れだね。」と話しをしながらも、それでもだましだまし生きながらえていた新しい家族でしたが、激しく情緒不安定だった私の発言をひずみに彼がしっかりと私を拒絶。

早かれ遅かれ、私の心はもうもたなかった。

子がめを精一杯幸せにしようと誓いました。

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